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コラム
2026.08.13
海外出張が発生する企業では、事前に海外出張旅費規程を作成しておく必要があります。国内出張と比べて高額な費用がかかるため、支給基準や精算手順を明確にしておかないと、経理処理の現場で混乱が生じるためです。
本記事では、そのまま活用できる海外出張旅費規程のサンプル条文と、役職や地域に応じた支給基準表を提示します。さらに、作成時に確認すべきポイントや税務上の注意点まで詳しく整理しました。
ぜひ社内の規程づくりに役立ててください。
海外出張旅費規程を作成する際は、基本となる7つの条文を網羅して文章を組み立てます。必要な項目をあらかじめ規定しておくことで、出張手続きの公平性を保ちましょう。
【条文サンプル】
第1条(目的)
本規程は、役員および従業員が会社の業務命令により海外へ出張する場合の旅費に関する事項を定め、手続きの円滑化と経費の適切な管理を図ることを目的とする。
第2条(適用範囲)
本規程は、取締役に勤める役員および正社員、契約社員を含む全従業員に適用する。
第3条(出張の手続きと承認)
出張者は、原則として出張開始日の14日前までに所定の「海外出張申請書」を提出し、代表取締役または部門責任者の承認を得なければならない。
第4条(旅費の種類)
海外出張旅費の種類は、交通費、宿泊費、出張日当、および業務上必要な実費とする。
第5条(旅費の計算および支給基準)
交通費は、最安ルートの運賃実費を支給する。
宿泊費および出張日当は、別表に定める役職ごとの支給基準に基づいて定額を支給する。
第6条(為替レートの適用基準)
外貨で支払った経費を日本円に換算する際は、原則として出張者が帰国した日の「公表仲値(TTMレート)」を適用して計算する。
第7条(精算手続きと領収書の提出)
出張者は、帰国した日から7日以内に「海外出張旅費精算書」を作成し、支払いを証明する領収書を添えて経理部門へ提出しなければならない。
※上記の基本構成をベースにして、自社の働き方や出張頻度に応じた細かな条件を追加していきます。
海外出張での宿泊費や日当は、役職や渡航先の地域ごとに定額で設定するのが一般的です。
役職ごとの責任の重さや、滞在地域の物価水準によって実際にかかる負担額が異なるためです。
以下に、一般的な企業で用いられる支給基準の具体例をまとめました。
| 区分 | 役職 | 北米・欧州地域 | アジア・その他地域 |
| 宿泊費(1泊あたり) | 役員 | 25,000円 | 20,000円 |
| 一般社員 | 18,000円 | 15,000円 | |
| 出張日当(1日あたり) | 役員 | 8,000円 | 6,000円 |
| 一般社員 | 5,000円 | 4,000円 |
金額を設定する際は、物価の変動に合わせて定期的に見直す必要があります。
自社の渡航実績と現地の物価を把握したうえで、業務上必要な出張に対して通常必要と認められる範囲となるよう、基準額を決定してください。

海外出張旅費規程では、支給する費用の種類だけでなく、外貨の換算方法や海外特有の費用負担についても定めておく必要があります。
ここでは、為替レート、パスポートやビザなどの費用、地域別の支給基準、海外旅行保険と緊急時の対応について解説します。
海外出張での経理処理では、現地通貨から日本円へ換算する際の為替レートの適用基準を明確に定めておく必要があります。基準を決めておかないと、レートの変動によって精算額にズレが生じ、トラブルの原因になるためです。
一般的には、以下のいずれかのタイミングのレートを採用します。
企業によって採用する基準は異なりますが、ルールを統一して規程に明記することが求められます。
業務上必要なパスポートやビザの取得費用、予防接種費用などを会社が負担するかどうかも、あらかじめ決めておきます。業務に必要な実費と個人の私的費用を区別するためです。
会社負担とする場合は、以下の内容を規程に明記します。
個人都合でのパスポート取得費用などは負担対象外とし、領収書に基づく実費精算を徹底することで適切な管理を行ないます。
渡航先の物価水準に応じて支給額を設定します。国や都市に関わらず一律の金額にすると、物価の高い地域へ渡航した従業員の自己負担が増え、不公平が生じるからです。
実務では、渡航先を以下のようなエリアに区分して定額を定めます。
自社の渡航実績が多い国を中心にグループ分けを行ない、現地の物価相場に合わせた上限額を提示します。
海外出張では、病気やけが、事故、盗難などのトラブルが発生する可能性があるため、海外旅行保険の加入や緊急時の対応方法も規程に定めておくと安心です。
会社が保険料を負担する場合は、対象となる出張や補償範囲を明確にします。また、事故や病気が発生した場合の連絡先、会社への報告方法、現地で必要な費用の取り扱いなども決めておくと、緊急時に対応しやすくなります。
旅費規程には、たとえば「業務上の海外出張に必要な海外旅行保険の保険料は会社が負担する」と定めたうえで、保険の加入手続きや補償内容を別途社内ルールで定める方法もあります。

海外出張旅費規程を運用する際、税務調査で不適切な経理処理とみなされないために注意すべき2つのポイントを解説します。
旅費や日当は、業務上必要な出張に対して通常必要と認められる範囲で設定する必要があります。不自然に高額な日当は、税法上の「旅費」ではなく実質的な「給与」と判断され、課税対象となるリスクがあるためです。
国税庁の「所得税法基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)」では、職務の遂行に必要な旅行に伴って支給される旅費について、通常必要と認められる範囲内であれば非課税として取り扱う考え方が示されています。
海外出張についても、旅費や日当を支給する際は、業務上必要な出張であることに加え、支給額が通常必要と認められる範囲に収まっているかの確認が必須です。旅費規程を整備したうえで、出張先の物価や実際に必要となる費用などを踏まえて適正な金額を設定しましょう。
旅費規程に基づいて支給するだけで、旅費や日当が無条件に非課税になるわけではありません。実際の出張内容や支給額が規程と整合していることも重視してください。
参考:国税庁「所得税法基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)」
海外出張の実態や支給した旅費の内容を確認できるよう、出張に関する証憑を適切に保管します。具体的には、出張申請書、出張報告書、航空券の控え、宿泊施設の領収書、交通費の領収書などです。
特に海外出張では、現地通貨で支払った費用やクレジットカードで決済した費用が発生するため、何にいくら支払ったのかを確認できる資料を残しておく必要があります。旅費規程に定めた支給基準と実際の運用が一致しているか確認できるよう、申請から精算までの書類を整理しておきましょう。
海外出張旅費規程は、自社の運用実態や税務上のリスクを考慮した上で適切に作成・運用していく必要があります。ルールがあいまいなまま運用を続けると、社内での手続きの混乱や、税務調査での指摘につながる恐れがあるためです。
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