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コラム
2026.09.24
一人社長の会社であっても、出張旅費規程の作成は可能です。あらかじめ規程を設けておけば、社長自身が出張した際の交通費・宿泊費・日当の支給基準を明確に設定できます。
ただし、旅費規程を作ったからといって無条件に節税できるわけではありません。税務上、非課税として認められるのは「その出張に通常必要と認められる範囲の費用」に限られます。(参考:国税庁 No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い)
この記事では、一人社長が出張旅費規程を作成する際に含めるべき項目や具体例、適切に運用するための注意点を解説します。
なお、旅費規程については以下の記事でその基本を解説しています。
一人社長が旅費規程を定めるメリットは、出張にかかる費用の支給基準を明確にでき、出張のたびに個別に判断する必要がなくなることです。
旅費規程には、たとえば次のような項目を定めます。
また、社長本人だけを対象とする規程にすることも、将来の従業員雇用を見据えて役員・従業員を対象とすることも可能です。
ただし、旅費規程を作成すれば、それだけで節税できるわけではありません。業務上必要な出張を対象とし、実際の出張実態に合った金額を設定する必要があります。
日当や宿泊費を税負担の軽減だけを目的に高額に設定するのではなく、合理的な基準に基づいて支給し、規程どおりに運用しましょう。
出張旅費が非課税となる理由や給与との違いについては、以下の記事で解説しています。

では、規程に含めるべき具体例を確認していきましょう。
トラブルを防ぎ適正な経理処理を行うため、具体的に設定するのは「出張の定義」「交通費」「宿泊費」「日当」の4項目です。
まず、どのような移動を出張とみなすか定義します。一般的には「日常の勤務地から片道〇〇km以上の移動」や「移動時間が〇時間以上」といった客観的な距離や時間を基準に設定します。
次に、利用できる交通手段と経費の範囲を定めましょう。電車、新幹線、飛行機、高速道路利用などの利用条件を明記してください。グリーン車やビジネスクラスなどの特別席を利用する場合は、その役職基準も記載する必要があります。
宿泊費と日当については、役職や出張先(国内・海外、日帰り・宿泊)に応じた定額の上限を規定します。宿泊費は実費精算とするか、定額支給とするかを決めておきましょう。日当は、同業種や同規模の企業で一般的とされる金額を参考に決定してください。
出張旅費規程には、費用の計算基準だけでなく、出張前後の手続きについても記載してください。
はじめに、出張の目的、日程、行き先、訪問先を事前または事後に記録する手順を定めます。一人社長の場合でも、業務上の必要性があった事実を残すため、出張報告書や申請書の作成手続きは省略できません。
あわせて、領収書や利用明細の保管ルールを設けます。新幹線の特急券の半券、飛行機の搭乗券の控え、ホテルの領収書などを保管する義務を明記してください。移動ルートや業務内容が確認できる資料を残すことが求められます。
最後に、精算の期日と支払方法を指定します。「出張終了後〇日以内に精算報告を行う」「毎月〇日締めで翌月〇日に口座へ振り込む」といった期限を設けましょう。
実際の自社運用に組み込める出張旅費規程のサンプルと、自社向けにカスタマイズする際の確認事項をまとめました。
基本的な項目を網羅したサンプルですのでそのまま活用できますが、自社に合わせて調整を加えてください。
一般的な企業の旅費規程のサンプルについては、以下の記事で解説しています。
【出張旅費規程】
第1条(目的)
この規程は、業務上の出張に伴う旅費の取り扱いについて必要な事項を定めることを目的とする。
第2条(適用範囲)
この規程は、当会社の役員が業務上の出張をする場合に適用する。
第3条(出張の定義)
出張とは、通常の勤務地を離れて業務を行うために旅行することをいう。
第4条(交通費)
第5条(宿泊費)
出張に伴い宿泊が必要となった場合は、1泊につき〇〇円を上限として実費を支給する。
第6条(日当)
出張した場合は、1日につき〇〇円の日当を支給する。ただし、日帰り出張については、〇〇円を支給する。
第7条(出張の申請)
出張する場合は、出張日、行き先、目的その他必要な事項を記録する。
第8条(旅費の精算)
出張終了後、交通費、宿泊費その他の旅費について必要な証憑を添付し、〇日以内に精算する。ただし、日当については規程に定める額を支給する。
このサンプルでは、金額を「〇〇円」としています。実際の金額は、会社の業務内容や出張先、利用する交通手段、宿泊施設などを踏まえて設定してください。また、会社の実情に応じて条項を追加・変更する必要があります。
実態に即した内容へ変更するために、見直すべき項目は以下の3点です。
日当や宿泊費は、世間の相場から大きく離れないよう設定しなければなりません。国税庁の通達でも、同業種・同規模の他社と比較して相当な金額であるかが判断基準とされています。(参考:国税庁 所得税基本通達9-3 非課税とされる旅費の範囲)
自社が移動で新幹線をメインに使うのか、自家用車をメインにするのかによって記載を変えてください。車移動が多い場合は、ガソリン代や高速道路料金の精算ルールを追加すると運用しやすくなります。
将来的に従業員を雇用する予定がある場合は、適用範囲についても検討しておきましょう。現在は一人社長であっても、役員だけを対象にするのか、従業員を含めるのかによって規程の書き方が変わります。

税務トラブルを防ぐために抑えておくべき運用の注意点を、2つ確認しておきましょう。
旅費規程は、実際の業務上の出張に合わせて内容や金額を設定します。
支給対象は、取引先との商談やセミナー参加、現地視察など、事業に必要な出張に限ります。私的な旅行や帰省などは出張として扱えません。
また、日当や宿泊費は実態とかけ離れた金額にせず、合理的な基準を設定してください。出張に私的な旅行を組み合わせる場合も、業務に必要な費用と私的な費用を区別して精算しましょう。
旅費規程を運用する際は、出張の内容や支給した旅費を確認できる記録を残す必要があります。
出張の際は、少なくとも次のような事項を記録しておきましょう。
実費で精算する費用については領収書や利用明細などの証憑も保存します。日当を支給する場合も、出張日や行き先を記録しておきましょう。
一人社長であっても、規程を作成した後は、定めたルールに従って一貫して運用しなければなりません。出張の記録や証憑と支給額を対応させ、適切に管理してください。
一人社長の会社でも、出張旅費規程の整備によって交通費や日当などの支給基準を明確に設定できます。自社の出張実態に合った適切なルールを定め、経理処理の明確化を図ってください。
運用時は、出張報告書や領収書といった証憑の管理を徹底し、規程に沿った手続きを継続しましょう。
「自社に合わせた金額設定がわからない」「運用のルール作りに不安がある」といった方は、ぜひパドゲイト合同会社へご相談ください。貴社の出張実態をヒアリングした上で、適正な規程づくりと運用をサポートいたします。
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