Column
コラム
2026.07.09
オフィスの移転や工場の新設、あるいは店舗の開業にあたって、「高圧電力」の契約が必要だと言われて戸惑う担当者は少なくありません。普段生活の中で利用している電気と何が違うのか、専門的な知識がなければイメージしにくいものです。
この記事では、高圧電力の明確な定義や、一般家庭などで使われる低圧電力との具体的な違い、利用に必須となる受電設備(キュービクル)の基礎知識などをわかりやすく解説します。
高圧電力とは、多くの電気を使用する事業所向けに供給される電力のことです。
まずは低圧電力との違いを確認しながら、高圧電力の特徴を見ていきましょう。
高圧電力と低圧電力の最も大きな違いは、送られてくる電気の「電圧」と「契約電力(電気の最大使用量の目安)」にあります。
日本の電気契約は、電力会社が供給する電圧の大きさなどによって区分されています。一般的に、契約電力が「50kW(キロワット)以上」となる事業所では、高圧電力での契約が必要です。
電気の電圧に関しては、一般家庭や小規模店舗向けの低圧電力を100V(ボルト)または200Vで供給するのに対し、高圧電力では「標準電圧6,000V」という非常に高い電圧で電気が送られてきます。一度に大量の電気を消費する施設へ安定してエネルギーを届けるために、このように区分が分かれています。
高圧電力と低圧電力では、電気を利用する施設や場所の規模に明確な違いがあります。建物の大きさや、中に設置されている電気設備の量によって契約区分が振り分けられるためです。
それぞれの具体的な対象施設は以下の通りです。
一般的な家庭では、テレビや冷蔵庫、家庭用エアコンなどが主な電気製品となるため、低圧電力で十分に賄えます。
一方で、高圧電力の対象となる施設には、業務用エアコンの複数台稼働やエレベーターの設置、大型の冷凍ショーケース、生産機械など、一時に大量の電気を消費する設備が揃っています。そのため、建物の規模が大きい施設では高圧電力の契約が不可欠なのです。
高圧電力と低圧電力では、受電設備にも大きな違いがあります。
低圧電力の場合、電柱に設置された変圧器(トランス)によって100Vまたは200Vまで電圧を下げた状態で建物へ供給されます。そのため、利用者側で特別な受電設備を用意する必要はありません。
一方、高圧電力では6,000Vの電気を建物の敷地内まで引き込みます。しかし、そのままでは照明や空調設備などに使用できないため、自社で電圧を変換する設備が必要です。
その役割を担うのが「キュービクル(高圧受電設備)」です。キュービクルについては後の章で詳しく解説します。
以下に、低圧電力と高圧電力の違いを表にまとめました。
| 項目 | 低圧電力 | 高圧電力 |
| 契約電力 | 一般的に50kW未満 | 一般的に50kW以上 |
| 電圧 | 100V・200V | 標準電圧6,000V |
| 主な施設 | 一般家庭、小規模店舗、小規模事務所など | オフィスビル、工場、学校、病院など |
| 受電設備 | 特別な設備は不要 | キュービクルが必要 |
高圧電力と低圧電力の違いを理解しておくと、自社の施設がどちらに該当するのか判断しやすくなります。

高圧電力が利用される理由は、電気を効率よく届けるためです。
発電所でつくられた電気は、送電線を通じて家庭や事業所へ届けられます。しかし、電気は送電中に一部が熱として失われてしまいます(送電ロス)。
送電ロスを抑えるために活用されているのが、高い電圧で電気を送る仕組みです。
電力は「電圧×電流」で表されます。
同じ量の電力を送る場合、電圧を高くすると電流を小さくできます。そして、送電ロスは電流が大きいほど増えるため、電流を抑えられる高電圧送電の方が効率的です。
そのため、発電所から送り出された電気は、まず超高圧や特別高圧で送電されます。その後、変電所を経由しながら段階的に電圧を下げ、事業所には高圧電力として、一般家庭には低圧電力として供給されるのです。
高圧電力は事業者向けの特別なサービスというよりも、大量の電気を無駄なく届けるための送配電システムの一部として利用されています。
高圧電力の契約を結ぶにあたり、施設側に設置しなければならないのが「キュービクル」と呼ばれる専用の受変電設備です。
キュービクルがどのような役割を担っており、利用者にどのような管理が求められるのか、基本の2点を確認していきましょう。
キュービクルとは、高圧で受電した電気を建物内で使用できる電圧に変換するための設備です。
「キュービクル式高圧受電設備」とも呼ばれており、一般的には金属製の箱の中に変圧器や開閉器などが収められています。
低圧電力の場合は、電柱上の変圧器によって100Vや200Vに変換された電気が供給されますが、高圧電力では6,000Vの電気を事業所の敷地内まで引き込むため、自社で電圧を変換しなければなりません。
中規模以上のオフィスビルや工場、病院、学校などで高圧電力を利用する際は、基本的にキュービクルの設置が必要になります。
高圧電力を利用する場合、キュービクルの設置だけでなく、適切な維持管理も求められます。
高圧受電設備は事業者側の設備となるため、安全に使用できる状態を保たなければなりません。そのため、設置費用に加えて、保守や点検にかかる費用も発生します。
また、高圧電力を受電する事業所では、電気事業法に基づき電気主任技術者を選任するか、外部の保安管理業務委託先と契約し、定期的な保安点検を実施する必要があります。
高圧電力は大量の電気を利用できる一方で、こうした設備の維持管理が必要になる点は、低圧電力との大きな違いといえるでしょう。

高圧電力を利用している事業所の中には、「毎月の電気代を少しでも抑えたい」と考えている方もいるでしょう。
固定費を削減するための効果的なアプローチは、電気の「使い方」を見直すこと、そして電気の「買い方」を変えることの2点です。
電気の使い方においては、一時の電気使用の集中(ピーク)を防いで基本料金の上昇を抑える「デマンド値の抑制」が有効です。また、電気の買い方においては、自社の操業スケジュールに合わせた最適な料金プランを提示する新電力会社へ切り替える方法があります。
なお、高圧電力の電気代が高くなる理由や、具体的な見直しポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせて参考にしてください。
この記事では、法人が利用する高圧電力の基礎知識について解説しました。内容の要点は以下の通りです。
高圧電力のコストを最適化するためには、現在の契約内容や過去の電気使用実績を正しく把握することが大切です。まずは、毎月届く「電気の検針票」を確認することから始めてみてください。
自社だけで最適なプランや削減余地を見極めるのが難しい場合は、複数の電力会社からプランを比較できる一括シミュレーションの活用がおすすめです。専門的な視点からのアドバイスや料金の見直しを検討される際は、ぜひ一度パドゲイト合同会社までご相談ください。
コスト削減・節税・EC売上アップのご相談は無料です
御社の状況に合わせて、専門コンサルタントが最適な方法をご提案します。
相談料は一切かかりません。まずはお気軽にお問い合わせください。